運行管理者試験対策【自動車の機能や特性に基づく指導】

運行管理者試験対策【自動車の機能や特性に基づく指導】自動車の機能や特性に基づく事業者の行うべき指導

自動車機能の特性による事業者の行うべき指導

内輪差

内輪差 車長が長い自動車は
  1. 内輪差が大きく、左折時に左側方のバイクや歩行者を巻き込んでしまう、
  2. 狭い道路への左折時には、車体がふくらみ、センターラインをはみ出してしまう、
  3. 右折時には車体後部のオーバーハング部が隣接する車線へはみ出して車体後部が後続車に接触する、
などの事故の要因となり得る危険性を有していることを運転者に対し指導している。(H29①、R2①)

死角

死角 バス車両は、車両の直前に死角があり、子ども、高齢者、降車した乗客などが通行しているのを見落とすことがある。
このため、発車時には目視及びアンダーミラーによる車両直前の確認等の基本動作を確実に行うため、運転者に対し、指差し呼称及び安全呼称を励行することを指導する必要がある。(H29①、R2①)

停止距離

停止距離 停止距離 = 空走距離 + 制動距離
  1. 空走距離とは、運転者が走行中に危険を認知して判断し、ブレーキ操作に至るまでの間に自動車が走り続けた距離をいう。自動車を運転するとき、特に他の自動車に追従して走行するときは、危険が発生した場合でも安全に停止できるような速度又は車間距離を保って運転するよう運転者に対し指導する必要がある。(H29①、H30②、R2Ⓒ)

車両の重量が重い自動車

大型トラック 車両の重量が重い自動車は、スピードを出すことにより、カーブでの遠心力が大きくなるため横転などの危険性が高くなり、また、制動距離が長くなるため追突の危険性も高くなる。(R2②)
このため、法定速度を遵守し、十分な車間距離を保つことを運転者に指導する必要がある。(R2①)

車間距離

車間距離 前方の自動車を大型車と乗用車から同じ距離で見た場合、それぞれの視界や見え方が異なり、大型車の場合には運転者席が高いため、車間距離をつめてもあまり危険に感じない傾向となる。
この点に注意して常に適正な車間距離をとるよう運転者を指導する必要がある。(H29①、H30①)
  1. 他の自動車に追従して走行するときは、常に「秒」の意識をもって自車の速度と制動距離(ブレーキが効きはじめてから止まるまでに走った距離)に留意し、前車への追突の危険が発生した場合でも安全に停止できるよう、停止距離と同程度の車間距離を保って運転するよう指導している。(H29②、H30①、R2①)
  2. 平成29年中に発生したハイヤー・タクシーが第1当事者となった人身事故の類型別発生状況をみると、「追突」は「出合い頭衝突」と同程度に多く、全体の約2割を占めている。追突事故を防止するためには、適正な車間距離の確保や前方不注意の危険性等に関する指導を徹底することが重要である。(R1①)

二輪車との衝突事故防止

二輪車 四輪車を運転する場合、二輪車との衝突事故を防止するための注意点として、
① 二輪車は死角に入りやすいため、その存在に気づきにくく、
② また、二輪車は速度が実際より遅く感じたり、距離が遠くに見えたりする特性がある。
したがって、運転者に対してこのような点に注意するよう指導する必要がある。(H29①、H30①、R2①、R2Ⓒ)

自動車の機能による事業者の行うべき指導

アンチロック・ブレーキシステム(ABS)

アンチロック・ブレーキシステム アンチロック・ブレーキシステム(ABS)は、急ブレーキをかけた時などにタイヤがロック(回転が止まること)するのを防ぐことにより、車両の進行方向の安全性を保ち、また、ハンドル操作で障害物を回避できる可能性を高める装置である。
ABSを効果的に作動させるためには、できるだけ強くブレーキペダルを踏み続けることが重要であり、この点を運転者に指導する必要がある。(R2①)

衝突被害軽減ブレーキ

衝突被害軽減ブレーキ レーダー等により先行者との距離を常に検出し、追突の危険性が高まったら、まずは警報し、運転者にブレーキ操作を促し、それでもブレーキ操作をせず、追突、若しくは追突の可能性が高いと車両が判断した場合において、システムにより自動的にブレーキをかけ、衝突時の速度を低く抑える装置である。(H29②)
衝突被害軽減ブレーキについては、同装置が正常に作動していても、走行時の周囲の環境によっては障害物を正しく認識できないことや、衝突を回避できないことがあるため、当該装置が備えられている自動車の運転者に対し、当該装置を過信せず、細心の注意をはらって運転するよう指導する必要がある。(H29①、H30①、H30②)

車線逸脱警報装置(LDWS)

ふらふら運転 走行車線を認識し、車線から逸脱した場合あるいは逸脱しそうになった場合には、運転者が車線中央に戻す操作をするよう警報が作動する装置である。(H29②)

車両安定性制御装置(ESC)

車両安定性制御装置 急なハンドル操作や積雪がある路面の走行などを原因とした横転の危険を、運転者へ警告するとともに、エンジン出力やブレーキ力を制御し、横転の危険を軽減させる装置(H29②)

映像記録型ドライブレコーダー

映像記録型ドライブレコーダー 映像記録型ドライブレコーダーは、交通事故やニアミスなどにより急停止等の衝撃を受けると、その前後の映像とともに、加速度等の走行データを記録する装置。また、事故時の映像だけでなく、運転者のブレーキ操作やハンドル操作などの運転状況を記録し、解析することにより運転のクセ等を読み取ることができるものがあり、運行管理者が行う運転者の安全運転の指導に活用されている。(H29②、H30①、H30②、R1①)

過去問

  • ① ある運転者が、昨年今年と連続で追突事故を起こしたので、運行管理者は、ドライブレコーダーの映像等をもとに事故の原因を究明するため、専門的な知識及び技術を有する外部機関に事故分析を依頼し、その結果に基づき運転者に指導した。(H29②、R2②)
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  • ② ドライブレコーダーは、事故時の映像だけでなく、運転者のブレーキ操作やハンドル操作などの運転状況を記録し、解析することにより運転のクセ等を読み取ることができるものがあり、運行管理者が行う運転者の安全教育の指導に活用されている。(R2②)
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過去問題集ランダムに出題されます

自動車の運転に関する次の記述のうち、適切なもをすべて選びなさい。なお、解答にあたっては、各選択肢に記載されている事項以外は考慮しないものとする。

1.四輪車を運転する場合、二輪車との衝突事故を防止するための注意点として、①二輪車は死角に入りやすいため、その存在に気づきにくく、また、②二輪車は速度が実際より速く感じたり、距離が近くに見えたりする特性がある。したがって、運転者に対して、このような点に注意するよう指導する必要がある。

2.前方の自動車を大型車と乗用車から同じ距離で見た場合、それぞれの視界や見え方が異なり、大型車の場合には運転者席が高いため、車間距離をつめてもあまり危険に感じない傾向となるので、この点に注意して常に適正な車間距離をとるよう運転者を指導する必要がある。

3.夜間等の運転において、①見えにくい時間帯に自車の存在を知らせるため早めの前照灯の点灯、②より広範囲を照射する走行用前照灯(ハイビーム)の積極的な活用、③他の道路利用車をげん惑させないよう適切なすれ違い用前照灯(ロービーム)への切替えの励行、を運転者に対し指導する必要がある。

4.衝突被害軽減ブレーキについては、同装置が正常に作動していても、走行時の周囲の環境によっては障害物を正しく認識できないことや、衝突を回避できないことがあるため、当該装置が備えられている自動車の運転者に対し、当該装置を過信せず、細心の注意をはらって運転するよう指導する必要がある。

1 2 3 4

▼ 答え

近年普及の進んできた安全運転支援装置等に関する次の文中、ABCDに入るべき字句を下の枠内の選択肢(1~6)から選びさい。

A】は、走行車線を認識し、車線から逸脱した場合あるいは逸脱しそうになった場合には、運転者が車線中央に戻す操作をするよう警報が作動する装置【B】は、レーダー等により先行者との距離を常に検出し、追突の危険性が高まったら、まずは警報し、運転者にブレーキ操作を促し、それでもブレーキ操作をせず、追突、若しくは追突の可能性が高いと車両が判断した場合において、システムにより自動的にブレーキをかけ、衝突時の速度を低く抑える装置【C】は、急なハンドル操作や積雪がある路面の走行などを原因とした横転の危険を、運転者へ警告するとともに、エンジン出力やブレーキ力を制御し、横転の危険を軽減させる装置【D】は、交通事故やニアミスなどにより急停止等の衝撃を受けると、その前後の映像とともに、加速度等の走行データを記録する装置(常時記録の機器もある。)

1.衝突被害軽減ブレーキ 2.映像記録型ドライブレコーダー 3.ふらつき注意喚起装置 4.車線逸脱警報装置 5.デジタル式運行記録計 6.車両安定性制御装置

A B C D

▼ 答え